Have a rice day!
ニューズレター Vol. 21
目次:
カリフォルニア・コメ作業(9月) 北川
WTO新ラウンド 北川
次回予告
フリートレードについて 等 北川 等
はじめに
今回は少し新包装についてお知らせさせていただきます。また、お知らせとしましてはホームページに関しまして、弊社研修生の阪本益彦君の尽力により近々更新する予定にしております。写真で見る現在のカリフォルニア水田風景や弊社の内部の状況など、遠くに居ながらにして現地の状況を見ていただけます。今後ともホームページはニュースレター共々更新をして参りますのでご期待下さい。
新包装について(窒素充填・密封包装)
かねてより精米仕立てのおコメを消費者のお手元にお届けしたいと考えておりましたが、遂に包装形態の改善によって可能となって参りました。既に胚芽米ではこの包装形態を実践して参りましたが、2重包装の手間の改善とより良い包装資材を検討して参りました結果、内装にアルミとポリの合成フィルムと、外部に紙と言う張り合わせの形式のフィルムを得ることができました。これによって窒素充填の密封包装がゴールドやクラシックでも可能となりました。今のところはこの新米から汎用版の20ポンドを15ポンドに変更して、使い切りやすくまたお求め安いサイズに変更することにいたしました。従来から精米仕立てのおコメを詰めて出荷しても流通での期間があり、どうしても品質的に弊社でも納得できない結果となっておりました物が、これによって改善できます。また、カリフォルニアから出荷して海を越える物、山を越える物、時には温かいところから極寒の地域へ運ばれることもあり、その間の品質変化はもどかしく感じておりました。この2重包装は従来の紙で問題となっていた乾燥の問題や害虫やカビなどの問題に関しても解決策となります。また窒素充填により酸化することもなく、精米仕立ての味を未開封で最低でも6ヶ月程度は冷暗所に保存していただければ充分保持できます。従来の紙包装で得られなかった品質の安定も可能となります。現在アルミ蒸着の物なども市場には出回っておりますが、これにも穴が開いていることもあり、カビや乾燥の問題は付いて回ります。窒素充填という包装によって他社品との差別化にもなります。今後この包装形態を5ポンド10ポンドへと時期を見ながら進めて参りたいと思っております。新米期からの包装の変更、より良い商品をお届けする一歩を少しずつ形にしていくことを考えております。
カリフォルニアのコメ作業(9月)
9月は収穫の時期です。今年は作付けが遅れて収穫も少し遅れてはおりますが、カルローズ等の中心品種は9月中旬から下旬にかけてピークを迎えます。農家にとっては一年間の結果が出るときでもあり、悲喜こもごもでこの時期を迎えます。今年は8月下旬から9月の上旬にかけて少し涼しく、少しスケジュールが後ろにずれ始めておりますが、成熟期がゆっくりと迎えられれば、食味的には良くなるはずです。涼しいと言っても昼間の最高は華氏で90度以上、摂氏では30度近くあり、夜温は華氏で55度程度、摂氏で13−4度で寒暖の差がはっきりして理想的な展開となっております。
9月の収穫適期の判断と収穫後直ぐに始まる乾燥がおコメの味を大きく左右します。収穫適期は穂に付いている籾がある程度まで乾燥し始めて、収穫を始めるタイミングを計る物ですが、早すぎると未熟な物が多くなり、乾燥にも時間が掛かります。また、遅れると乾きすぎて胴割れと言って炊飯や精米の前から割れて、食味も精米収量も悪くなります。またこの時期季節の変わり目で乾いた北風や南風が吹きます。これによって収穫適期の水分が大きくはずれることが有ります。カリフォルニアのコメ農家はこの風を見ながら収穫を予定して行かなくてはなりません。
また収穫後の乾燥は食味には大きく影響します。また、この段階でも胴割れや臭いを付ける危険が有ります。収穫してきた籾の水分を充分計算してそれにあった乾燥計画が必要となります。また、ゴミや雑草の種が多い物は乾燥むらになりやすく、これも臭いの元になったり、食味を落としたりする原因になります。温度を使わないで乾燥する方法も多く言われておりますが、一度は籾に付いた雑菌を殺す意味でも少しは温度をかけておくことも必要なことも有ります。いずれにしてもこの時期はおコメの食味に大きく左右されますので、一番大切な時期かも知れません。神に祈るしかない所も有りますが。
カリフォルニア・コメ市況(原料サイドから見た)
2003年8月末頃の原料市況と言うことでお知らせいたします。これはあくまでも私個人の私見でありますので、あらかじめご了承下さい。
現在古米が余りなく商いがないので、価格は動いてはいないと言えると思います。前回の報告の通り新米のカルローズは白米で100ポンド当たりUS$22.00と言われております。新米の収穫が一部早稲の品種で始まっておりますが、この収穫時の収量によっても大きく価格が動く可能性があります。今のところ早稲種では収量がそれ程良くないと言うことも有って、価格はより強含みになる方向に出てきております。また、今後日本向けや台湾、韓国向けの入札が行われますし、中東などの買い注文も入り始めますが、これの動向によっても価格は変動します。もし、現在の高値をいやがって長粒種や中国の短粒種やタイやベトナムのおコメに流れるような傾向が出れば、カリフォルニアの価格も少しは落ち着く可能性も有ります。とにかく今は目が離せないと言うところでしょうか。カルローズの収穫は9月の中下旬から佳境に入ります。そのころの収量発表などに依っても大きく動くことになるでしょう。
WTO新ラウンドについて
世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド、ドーハラウンド)の第5回閣僚交渉が9月10日から14日までの間にメキシコのカンクーンにて開催されます。この会議での最大の焦点はやはり農業交渉です。これに先立ち農業分野に関しては、8月13日にジュネーブにてカンクーン閣僚会議で決議すべき枠組み(モダリティー)に関してEUとアメリカの間では基本的な合意が成されました。この内容は日本にとっては非常に厳しい物でとうてい直ぐに受け入れられる物とはなりそうにありません。しかし、日本としては頼みにしていたEUがアメリカと基本的に合意したことで、全面的には受け入れられないにしても妥協案を考えざるを得ない状況に追い込まれたと言えると思います。また、この新ラウンドは農業の事だけに終始する物では有りませんので、農業問題に固執してせっかく薄日の射し始めた産業界に不利になるような事もできず、日本の閣僚は苦渋の選択を迫られることになりそうです。
先に合意に至ったアメリカと欧州の農業に関する共同声明に関して少し触れます。農業交渉の柱は「市場アクセス」「輸出競争」と「国内の助成」の三分野です。特に市場アクセスについて日本は非常に厳しい物を突きつけられそうになっております。特にコメに関してウルグアイラウンドにて合意した方法に基づいてここまで日本政府は一部関税化やミニマムアクセスという形で自国の市場に対して輸入を政府主体で行ってきました。しかし、ここに来て欧米や農産物主要輸出国はこのWTOの最終目的である「最終的には世界の貿易は関税や障壁を撤廃して自由に貿易のできる環境作り」と言う方向に大きく踏み出そうとしていることが伺えます。大幅な関税削減や関税の上限などの提案が出ているのです。特にコメでは関税化を一部しておりますが、税率に直せば490%と言われており、このような関税率を持つ品目を無くすために上限を設けようとする物です。もし引き下げができなければ、政府主導での強制的な輸入拡大(現在ミニマムアクセスと言う形で行われている物の更なる拡大)を強いられます。いずれにしても早晩農業に儲けられている壁をどんどん低くして行かなくてはならず、その交渉は最低でも5年ごとに確実にやってきます。日本の農業は今変革期に差し掛かっていると思いますが、更に外圧で抜本的に構造改革を進めざるを得なくなりそうです。
現在世界では経済のブロック化やフリートレード協定により市場の囲い込みが盛んに行われております。日本の基幹産業である自動車や家電は既に乗り遅れて市場をどんどん追い込まれようとしております。そういった日本の産業界からしても農業がお荷物だと感じ始めているように思えます。今回の交渉でも結果的に輸入拡大を迫られるでしょうし、今後2国間の協議などで工業製品の輸出に応じた農産物の購入も行わざるを得なくなるでしょう。日本の農業は人的資源も資金も早く外に求めて構造改革を進めて行かざるを得なくなると思いますし、自発的に早めに行動を取る必要が有ると思えます。
今回はこの辺りで。
次回は「フリートレード」についてお話しさせていただきます。
(北川正巳)
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